ヘンリー・テリーの絵本

【A  VICTORIAN FLOWER ALBUM〜イギリス 野の花図鑑〜】
ヘンリー・テリーという人が描いた可愛い本です^_^彼は画家でも作家でもなく、普通の3人の子供の父親で作品はこの本一冊のみなんです。
この本は題名の通りヴィクトリア朝時代、1873年の夏、3人の子供たちが野山で摘んできた草花をお父さんが丁寧に描いたアルバム。
お父さんが手作りで、子供たちのために作った、たった一冊の本なんです。
草花は彼らが住んでいたオックスフォード近郊のもの。

オックスフォードといえば、そうです「不思議の国のアリス」ですよね。ルイス・キャロルがこの作品を書いたのが1865年。
数学教師だったキャロルが学寮長の3人の娘たちにせがまれて話していた物語を本にしたのが不思議の国のアリスなんですよね。

ヴィクトリア朝の特徴は子供への愛です。
人々は子供たちのためには何も惜しまず、子供が喜ぶことは何でもした時代で、子供のための本、児童文学はこの時代に生まれました。

このヴィクトリア朝時代は、それまで王侯貴族や富裕層のものだった見るだけのガーデンが一般家庭の生活の中のガーデンへ普及し、自然の中の野の花を楽しむようになりました。
いわば、今のガーデニングが始まった時代ですね。

本のあとがき

エミリー、アニー、ハリーへ
親愛なる子供たち。
完璧な作品とは言いがたいのをよくよく承知の上で、きみたちにこの自然のアルバムを贈る。
可愛らしい好奇心と無邪気な言葉で私を励ましながら作業を見守ってくれたね。
だから私は、その結晶をきみたちに贈る。
いつの日か私も野の花と同じように神様が造られたこの素晴らしい地球上から消え去るときがくる。
その日が来たら、父親への興味と愛情を胸に、このアルバムを開いてくれれば嬉しい。
1873年10月 オックスフォードにて